
今年からプリセプターをやることになったけど、自信ないな…



今まで指導なんてしたことないけど、どんなことに気をつけたらいいんだろう
看護師3年目前後は、看護師として一人前と言われる時期。
新人看護師さんの指導やリーダーなど、任される業務が増えるので大変ですよね。
初めてプリセプターを経験する場合、プリセプティとの関わり方がわからなかったり、どう指導したらいいかイメージができないなどの不安があると思います。
この記事では、初めてプリセプターを経験する看護師さん向けにプリセプターの役割や仕事内容について解説します。
- プリセプター制度とは何か
- プリセプターの役割
- プリセプターの仕事内容
- プリセプティとの関わり方



初めてプリセプターを経験する時は、指導方法やプリセプティとの関わり方に悩むことが多いものです
ぜひこの記事を一つの参考にしてみてくださいね
プリセプターシップ制度とは?
プリセプター制度とは、先輩看護師が新人看護師を教育・指導する制度のこと
新人看護職員1人に対して決められた経験のある先輩看護職員 (プリセプター)がマンツーマン(同じ勤務を一緒に行う)で、ある一定期間新人研修を担当する方法。
この方法の理念は、新人のペースに合わせて(self-paced) 、新人自らが主体に学習する(self-directed)よう、プリセプターが関わることである。
新人看護職員が臨床現場に出てすぐなど、ごく初期の段階で用いるのが効果的である。プリセプターは自分の担当する患者の看護ケアを、担当の新人看護職員(プリセプティー)とともに提供しながら、仕事を通してアセスメント、看護技術、対人関係、医療や看護サービスを提供する仕組み、看護職としての自己管理、就業諸規則など、広範囲にわたって手本を示す。
新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】|厚生労働省
プリセプター制度とは、一人の先輩看護師(プリセプター)がある一定期間、新人看護師(プリセプティ)に対して、マンツーマンで指導を行う教育制度のこと。
このほかにも新人看護師を支える組織体制には、「チューターシップ(エルダー制)」「メンターシップ」「チーム支援型」などがありますが、ほとんどの病院ではプリセプター制度が導入されています。
厚生労働省のガイドラインでは、これらすべての体制で新人看護師を支える支援者を「実地指導者」という言葉で表現しています。
実地指導者とは?
実地指導者は新人看護職員に対して、臨床実践に関する実地指導、評価等を行う者。看護職員として必要な基本的知識、技術、態度を有し、教育的指導ができる者であることが望ましい。
参照:新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】|厚生労働省



実地指導者の中でも、特にプリセプターは新人教育に密接に関わり、新人看護師のお手本となる役割を担っているんですね
プリセプターの役割と必要な能力
プリセプターの役割は、プリセプティの技術面の指導やメンタル面のサポートをすることです
ガイドラインでは、そのためには以下の能力が必要だと説明しています
新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】|厚生労働省
- 新人看護職員に教育的に関わる能力
- 新人看護職員と適切な関係性を築くコミュニケーション能力
- 新人看護職員の置かれている状況を把握し、一緒に問題を解決する能力
- 新人看護職員研修の個々のプログラムを立案できる能力
- 新人看護職員の臨床実践能力を評価する能力



プリセプター側にも、いろいろな能力が求められているんですね
私が3年目の時にはここまで考えられていなかったかも…
特に初めてプリセプターを経験する場合は「私がプリセプティを一人前の看護師に育てないといけない…」というプレッシャーや焦りを感じがち。
技術指導ばかりに重点を置いてしまったり、プリセプティの出来ていないところばかりに目がいってしまうことが多いです。
技術面の指導もプリセプターの大切な役割ですが、技術面の指導はプリセプターだけではなくチーム全体が協力して行っていくので、あまりプレッシャーや焦りを感じすぎないようにしましょう。
プリセプターの役割で本当に重要なのはプリセプティに寄り添い、一緒に問題を解決することです。
プリセプティのよき理解者になる
プリセプターをする上で特に大切にしたいのは、プリセプティのよき理解者になることです。
自分が新人だった頃を思い出すと、慣れない環境で不安を感じたり、何をするにも知らないことばかりで「わからないことがわからない…」状態だったことはありませんか?
既に今の職場環境に慣れている看護師からすると当たり前のことでも、新人看護師にとっては当たり前のことばかりではありません。
・新人看護師がわからないことを調べてこない、聞いてこない場合



今年の新人さんはわからないことを調べてこないし、聞いてもこないなあ…。やる気あるのかな?



勉強した?って聞かれても、何がわからないのかもよくわからないし、何から勉強したらいいんだろう
先輩に聞くにしてもいつも忙しそうでピリピリしていて怖いし…。というか、何をどう聞いたらいいの?
新人看護師からすると何を勉強したらよいのか、どんなことを確認するべきなのか、まず根本的な理解が追いついていないと難しいですよね。
新人看護師が「わからないことがわからない」という状態になっていると何を調べたらよいか、何を聞けばいいかわからない、そもそも考えもつかないということが少なくありません。
プリセプターは一定期間マンツーマンでプリセプティの教育を担当するので、新人看護師の置かれた状況を最も理解しやすい立場にあります。
そのため日々のコミュニケーションを通して、新人看護師が困っていないか、どこまで理解できているのかを確認し、言語化してもらうようにしましょう。



年齢が近かったり経験が浅いからこそ、自分の新人時代の経験を思い出し、プリセプティの言動を理解できたり共感できることもあります
プリセプターがプリセプティの味方でいてくれると、プリセプティにとってもプリセプターが心強く頼れる存在になりますよ
プリセプティのロールモデルになる
プリセプターはプリセプティにとって一番身近なロールモデルです。
そう言われると、プリセプティのお手本になれるよう「完璧でいなければいけない」というイメージを持ってしまいがちですが、あまり気負いすぎる必要はありません。
「ベナーの看護論」では、完璧すぎるモデルは逆効果と言われ、完璧なモデルが原因で自己評価が低くなったり、失敗を恐れるようになるとも考えられています。
完璧でいようとするのではなく「実際の現場で看護師は何を考え、どんなことをしているのか」、普段通りの自分の姿をプリセプティに見せることが大切です。



関係が構築されていない段階では、完璧すぎる人に対して「こんなこと相談していいのかな…」と不安になったりしますよね
プリセプターは指導者の一人ですが、時にはプリセプティと共に悩み、問題解決をしながら一緒に成長していくことが大切です
プリセプターの仕事内容
プリセプターの仕事内容は大きく分けて4つあります。
- アセスメント、看護技術、対人関係、医療や看護サービスを提供する仕組み、看護職としての自己管理、就業諸規則など広範囲にわたって指導を行う
- 看護技術の確認・評価を行う
- 業務や疾患、処置に対する理解度の確認、必要な学習についてアドバイスする
- 精神的なフォローや新人指導の進捗管理・周囲への周知を行う
まずはプリセプティが安心できる環境づくり、関係性の構築に努める
4月に入職したばかりの新人看護師は、職場の環境に慣れるために必死です。
慣れない環境かつ雰囲気の良くない職場だと、新人看護師が萎縮してしまい今後の臨床実践でも悪影響を及ぼします。
まずは毎日出勤して、プリセプターや他のスタッフの名前を覚えたり、会話ができる状態を目指しましょう。
そのためにはチーム全体が新人看護師を受け入れる体制を整えておくことが大切です。



初めのうちは新人看護師から話しかけることが難しい場合もあるので、プリセプターや他のスタッフが気にかけて声をかけてあげられると良いですね
プリセプティーの1年間の指導計画を考える
看護師は複数の患者を受け持ちながら、必要な知識、技術、態度を統合した実践的能力を、優先度を考慮して発揮することが求められています。
臨床実践能力の構造として、Ⅰ 基本姿勢と態度、Ⅱ 技術的側面、Ⅲ 管理的側面があります。
これらを患者への看護を通して臨床実践の場で統合し、臨床実践能力を積み上げていくことが大切といわれ、プリセプターからの指導は、シャドーイング(見学)、見守りによる実践、独り立ちの流れで進みます。
各施設で大まかな指導計画が決まっている場合もありますが、プリセプティの特性に合わせた指導計画の立案、修正していく必要があります。
新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】|厚生労働省



プリセプティに合った指導計画の立案・修正は、プリセプターの大切な役割です
プリセプティーと勤務が同じ日の勤務の流れ
- 1日のスケジュールの確認
- 時間管理ができているか、優先順位が考えられているかを確認
- 多重課題の場合、必要に応じてフォローをすることを伝える
- 初めて行う検査や処置の方法を一緒に確認する
- 技術チェックリストの自立状況を把握し、余裕があれば受け持ち患者以外でも自立できていない技術に関して積極的に実践できるよう調整、プリセプティにも声をかける



勤務開始時に行動調整を行ったら、必ず初めて行うことはないか、心配なことはないか確認しましょう
勤務中に少しでも知らないこと・自信のないことがあったり、何か困ったときにはいつでも声をかけるように伝え、プリセプター自身もプリセプティに目を配るようにしましょう
- 進捗状況の確認
- 忘れている処置(血糖測定や食前薬、点滴管理)などがないか確認
- 必要に応じて1日のスケジュールを変更する



進捗状況を確認する時には「どこまでできていて、何が終わっていないのか、残っている処置は何か」を確認するようにしましょう
忙しそうであればプリセプターから手を差し伸べることも必要です
休憩時間より少し早めに確認するといいですね
- 1日の振り返り
- 次回の勤務の目標設定



振り返りの時間は長すぎないように設定し、簡潔にポイントを伝えるようにしましょう
一気に伝えるとプリセプティがパンクしてしまうので、優先すべき内容をピックアップして伝えるようにしましょう
プリセプティがどう考えて行動していたのかを確認できると、次回の目標設定にも繋がります
普段から周囲を巻き込んで、チーム全体で育てる意識を持つ
技術面の指導はプリセプターだけではなくチーム全体が協力して行います。
チームのメンバー全員に目標や課題などが共有されていないと指導内容にばらつきが出てしまい、プリセプティが混乱してしまう原因になります。
そのため普段からプリセプティの目標や課題、プリセプター以外が指導に入る時に確認してほしいことなどを共有しておくようにしましょう。



チーム全体で情報共有をすることで、より一貫性のある指導を行うことができますよ
まとめ:プリセプティと一緒に悩みながら、自分自身も成長しよう!
プリセプターをしていく上で大切なのは、プリセプティに寄り添うこと。
プリセプティと一緒に悩み、相談しながら方向性を決めていくことはプリセプティだけではなくプリセプターの成長にも繋がります。
初めから完璧を求めすぎず、それぞれに合った方法を探りながら指導を行なっていきましょう。
引用・参考文献
・菊池亜季子「できるナースと言われるために5年目までに知っておきたい108のこと」,浅香えみ子,Gakken,2022年7月
・厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン」2025.3.22閲覧